【3級】登記と地図
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登記とは、不動産に名札を付けるようなものだと思って下さい。
例えば、自分のペンに名前を書くと、そのペンが自分のものだと皆に主張する事が出来ますが、土地や建物には名前を書くことができません。
そこで、土地や建物を自分のものだと主張したいのであれば、登記をする、という制度になっています。
つまり、登記とは、自分の権利を広く主張するために行う手続きです。
したがって、登記記録は、利害関係者だけでなく誰でも見ることができます。
登記記録は、利害関係者だけでなく誰でも見ることができますから、お金さえ払えば誰でも、ディズニーランドのシンデレラ城の登記記録を見る事ができ、シンデレラ城はディズニーランドの運営会社の物だという事を確認する事ができます。
登記(本登記)をすると、対抗力を得て、権利を広く主張する事ができるようになります。
これは、言い換えれば、登記をしなければ、権利を広く主張する事ができない(=対抗要件を満たさない)という事です。
例えば、以下のような事例(二重売買)があったとします。
この時、Cさんは、土地を自分のものだとみんなに主張するために、登記を行いました。
その後、Bさんは、5月になって登記をする事にしました。
このようなケースでは、Bさんは登記をする事ができません。
BさんがCさんに対して、自分の方が先に売買契約を結んだと言っても、土地はCさんに渡ります。
なぜなら、登記には対抗力がありますが、売買契約書には対抗力が無いからです。
つまり、対抗力とは、それが自分のものであるということを主張する効力の事で、登記のタイミングが早い人が優先的に権利を認められる、というルールになっています。
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登記は、基本的に、権利を主張したい人が任意で行うものです。
したがって、世の中には、しばしば、登記と実態が一致しないケースがあります。
そこで、登記には、公信力が無いという点に注意しなくてはいけません。
公信力とは、本当は権利が存在しなくても、その権利が存在するかのような状態になっていて、その権利が存在すると信じ切って取引しまった人がいたら、権利が存在したものとして扱う事により、勘違いして取引してしまった人を保護する効力の事です。
例えば、AさんがBさんに家を売り、Bさんがその家に住み始めたとします。
この時、本当はBさんが登記をしなければ、登記簿上は、その家の所有者はAさんのままです。
この状況を悪用したAさんに騙されて、登記簿を見て、その家がAさんの家であると信じてAさんから家を買ったCさんは、Aさんに対して損害賠償請求をする事はできますが、家を手に入れるのは、難しいです。
このようなケースにおいて、登記制度を運営している国に文句を言っても、原則として、国は助けてくれません。
何故なら、登記には公信力が無いからです。
もし、登記に公信力を持たせようとすると、登記の内容と実態が常に一致している事を確認・保証しなくてはいけませんので、時間も予算もかかってしまいます。
ですから、登記には公信力を持たせずに、取引をする当事者がきちんと現地調査をするように求める仕組みになっています。
不動産の登記を行う際には、建物は一棟ごと、土地は一筆ごとに行います。
「筆(ひつ)」とは、土地を数えるための単位です。
不動産の登記記録は、建物も土地も、どちらも表題部と権利部から構成されています。
表題部には、表示の登記とも言い、その不動産の所在、大きさ、構造等、その不動産についての目に見える情報が記録されています。
但し、表題部に記載されている所在や地積等の内容は、必ずしも、住居表示や実際の地積と一致しているとは限りません。
一方、権利部には、不動産についての権利に関する事項が記載されていて、甲区と乙区に分かれています。
甲区には、所有権の移転や差し押さえなど、所有権に関する事項が記載されています。
乙区には、抵当権や借地権など、所有権以外の権利に関する事項が記載されています。
記載事項 | ||
表題部 | 表示に関する登記 | |
権利部 | 甲区 | 所有権に関する登記 |
乙区 | 所有権以外の権利に関する登記 |
全ての登記所には、土地の位置や形状を知るために、公図という地図が備えられています。
但し、これは作成された時代がかなり古いですので、現状とは一致しないことがあります。
そこで、14条地図と呼ばれる現地復元力が高い地図が備えられている登記所もあります。
この地図は、まだ全ての登記所に設置が完了している訳ではありません。
いつまでも不正確な地図(公図)ばかり使っているのはよくないので、不動産登記法という法律で、きちんとした地図を備え付けましょうというルールができました。
この法律の第14条で作成が指示されている事から、精度の高い地図は、14条地図と呼ばれます。
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