【3級】不動産の譲渡に係る税金
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不動産を譲渡した際に生じた利益は、譲渡所得として所得税の課税対象となります。
譲渡所得の金額は、「収入金額-(取得費+譲渡費用)」という式で計算されます。
なお、取得費が分からない場合等は、概算取得費として、収入金額の5%を取得費として計算する事ができます。
また、売却した不動産を相続や遺贈によって取得していた場合の取得費は、被相続人や贈与者の取得費を引き継ぎます。
譲渡所得は、売却した資産の種類により、総合譲渡所得、分離譲渡所得、株式等に係る譲渡所得の、3つの課税方法があります。
このうち、不動産に係る譲渡所得は、分離譲渡所得に該当します。
不動産の売却益は、時々莫大な金額になりますから、他の所得と混ぜるのは不適切である(他の所得に係る税率が上がると良くない)という事で、分離課税されます。
分離譲渡所得は、譲渡した不動産の保有期間により、長期と短期に分けられて、別々に税金が計算されます。
取得日から売却日が属する年の1月1日までの期間が5年を超える場合、分離長期譲渡所得となり、これが5年以下である場合、分離短期譲渡所得になります。
例えば、×1年の1月17日に不動産を取得して、×6年の5月25日に不動産を売却した場合、正味の保有期間は5年を超えていますが、分離譲渡所得の保有期間の計算上は、売却日を×6年の1月1日とみなしますので、保有期間は5年以下と判定され、分離短期譲渡所得に区分されます。
なお、分離長期譲渡所得に対しては、20.315%(所得税15%と住民税5%)が課され、分離短期譲渡所得に対しては、39.63%(所得税30%と住民税9%)が課されます。
バブルの時代、不動産の短期売買が横行して、庶民が不動産を買えないくらいに不動産が値上がった事がありました。
この反省から、不動産の短期売買を抑制する目的で、分離短期譲渡所得の税率は、分離長期譲渡所得の税率の約2倍になってます。
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居住用の不動産を売却した際に、一定要件を満たすと、譲渡所得の金額から、最高3,000万円を控除する事ができます。
所有期間の要件や所得の要件がありませんので、使い勝手が良い制度です。
居住用不動産を売却して、3,000万円も利益がでるケースがあるのか、疑問に思う方が多い制度です。
実は、この制度はかなり古くから存在する制度で、高度経済成長期の物価がどんどん上昇する時代において、ライフスタイルに応じて住まいを買い換えやすくする為に創設されました。
例えば、2,000万円で買った不動産が5,000万円で売れても、3,000万円の利益に対して600万円の税金が課せられれば、新しく家を買い換える時の元手が、4,400万円になってしまいます。
そうすると、高価な物件を買いにくいor課税を嫌って買換えを控えてしまう、という社会的な課題が、当時、存在していました。
居住用財産の不動産を売却した際に、一定要件を満たすと、長期譲渡所得に適用される税率が低くなります。
具体的には、本来、20.315%(所得税15%と住民税5%)が課されるところ、3,000万円特別控除を適用した残りの譲渡益のうち、6,000万円までの部分については、適用される税率が、20.21%(所得税10%と住民税4%)になります。
この特例の適用を受ける為には、所有期間の要件があり、売却日が属する年の1月1日において、売った家屋や敷地の所有期間が、ともに10年を超えている必要があります。
この制度も、ライフスタイルの変化に応じて住まいを買い換えやすくする為に創設された制度です。
長期にわたり物価が大きく上昇した時代背景により、長期保有している不動産の売却益が高額になり、3,000万円特別控除だけでは買換えニーズに対応できなくなったために作られました。
居住用不動産の譲渡益にかかる税率の早見表
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長期の物価上昇という経済的背景の下、ライフスタイルの変化に応じて住まいを買い換えやすくする為に、3,000万円特別控除の特例と軽減税率の特例が創設されました。
しかし、これらの制度を使っても、多額の税金が課せられる場合がありましたから、さらに買換えを促す制度として、特定居住用財産の買換えの特例が創設されました。
これは、居住用財産を売却した際に、一定要件を満たすと、譲渡益を将来に繰り延べる事ができるという特例です。
例えば、1,000万円で取得した住宅を5,000万円で売却した場合、譲渡益が4,000万円に対して税金が課されてしまうと、手元のお金(買換えの為の原資)が少なくなってしまいます。
そこで、この制度を使い、手元にある売却代金5,000万円に2,000万円を加えて、7,000万円の住宅を買うと、課税を将来に繰り延べる事ができます。
但し、新しく買った家の取得費は、元々の取得費の1,000万円と、新しく追加した2,000万円の合計3,000万円であると考えます。
よって、もし、将来買い換えた家が8,000万円で売れたとすると、取得費を3,000万円として譲渡所得を計算します。
つまり、2回目の売却時に、1回目の売却益と、2回目の売却益が、同時に課税されるという仕組みです。
なお、この制度は、3,000万円特別控除の特例や軽減税率の特例と併用する事ができません。
つまり、居住用財産を売って利益が出る場合、①3,000万円特別控除と軽減税率の特例の適用を受けるか、②買換え特例の適用を受けるか、という2つの選択肢が存在します。
譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える等、一定要件を満たした居住用財産を売却して、新たに居住用財産を購入した場合に、旧居宅の譲渡による損失(譲渡損失)が生じた場合、確定申告を行う事により、その譲渡損失をその年の所得から控除(損益通算)することができます。
また、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年間、繰越控除する事ができます。
譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える等の一定要件を満たした居住用財産を、住宅ローンの残高を下回る価額で売却して、損失(譲渡損失)が生じた場合、確定申告を行う事により、その譲渡損失をその年の所得から控除(損益通算)することができます。
控除額に一定の限度額がありますが、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年間、繰越控除する事ができます。
相続や遺贈により財産を取得して相続税を支払った人が、その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合、支払った相続税額のうちその財産に係る金額を、譲渡資産の取得費に加算する事ができます。
例えば、1億円(7,000万円の土地と3,000万円の現金)を相続して300万円の相続税を納めた人が、当該土地を売却した時、相続税300万円の内70%の210万円は、土地を取得するための経費であると考える、というイメージです。
要するに、相続の開始を知った日から3年10ヵ月という事です。(詳しくは、相続・事業承継の章を学習すると理解が深まります。)
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