【3級】所得税の計算*
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前回、所得税は、個人の正味の儲けに係る税金だと学習しました。
個人の正味の儲けというのは、もう少し分かりやすい表現をすれば、個人が自由に使えるお金だと思って下さい。
これを踏まえた上で、所得税の計算の流れのイメージ説明すると、
① | 所得(お金を稼ぐ活動から得られた、正味の稼ぎ)を計算する |
↓ | |
② | ここから、所得控除(生きていくためにどうしてもかかるお金)を引いて、課税所得(正味の儲け=個人が自由に使えるお金)を求める |
↓ | |
③ | 上記で求められた、課税所得(個人が自由に使えるお金)を元に、申告税額を計算する |
という感じです。
これを、難しく表現すると、
① | 個人の所得を10種類に分けて、それぞれの所得の金額を計算 |
↓ | |
② | 課税標準の計算(損益通算と繰越し・繰戻し) |
↓ | |
③ | 課税所得金額を計算(所得控除) |
↓ | |
④ | 申告税額の計算 |
という仕組みになっていて、以下の体系図で表現されます。
※ | タップすると拡大します。 |
所得税の論点では、この体系図は超重要です。
初見では難しく感じるのはもっともですが、この先何回も出てきて、真面目に勉強していれば自然と頭の中に入りますので、安心してください。
これから様々な論点を学習していく時、それが体系図のどこの話なのかを意識すると、所得税の理解が深まります。
なお、ここにある所得の種類については、次回以降詳しく学習しますので、現時点では覚える必要はありません。
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そもそも、なぜ個人の所得は10種類に分類されているのか?
それには2つの理由があり、一つが、所得を正確に計算する為、もう一つが、稼ぎ方によって税金のかけ方を変える為です。
税金のかけ方には、源泉分離課税、総合課税、申告分離課税という、3つの方法があります。
<源泉分離課税>
源泉分離課税は、利子等の支払い時に、金融機関が税金を計算を天引きして、預金者の代わりに納税する方法です。
例えば、銀行にお金を預けて利息を受け取った時に、儲かったからと言って納税している人はいないはずです。
あれは何故なのかと言えば、銀行の利息に対する税金は、源泉分離課税される決まりになっているからです。
つまり、利息を受け取る時に、既に儲けに対する税金が差し引かれて、残りが振り込まれているので、預金者は納税しなくて良いという仕組みになっています。
<総合課税>
総合課税は、それぞれの所得をごちゃ混ぜにして課税する方法で、所得税の基本的な課税方法です。
各所得を合計したものが個人の所得で、それが多ければ多いほど高い税率がかかる、というのが、所得税の基本です。
<申告分離課税>
申告分離課税は、総合課税のようにごちゃ混ぜにして課税せずに、別枠で(その所得単体に)課税する方法です。
イメージとしては、偶然大儲けする可能性があるものに対する課税方法だと思って下さい。
総合課税では、所得が多ければ多いほど税率が高くなり、最低の5%から、最高で45%までの税率が適用されます。
ですので、何でもかんでもごちゃまぜにして課税してしまうと、良くない場合があります。
例えば、1年間こつこつ働いて、500万円の給料を貰うと、大体10%の所得税がかかります。
そういう人が、たまたま株や土地を売って1億円儲けたとして、もしそれらが全部まとめて総合課税されてしまうと、1億500万円に対して45%の税金がかかります。
つまり、真面目に働いた給料に対しても45%の税金がかかってしまい、真面目に働くのが馬鹿らしくなってしまいます。
そこで、偶然大儲けする可能性があるものは、総合課税して他の所得の税率を上げてしまう事がないように、別枠で課税する仕組みになっています。
※ | 累進税率は段階的に課されますから厳密な表現ではありませんが、イメージしやすい事を優先した表現をしています。 |
ここで、税金のかけ方を、体系図で確認しておきましょう。
※ | タップすると拡大します。 |
左から1番目と2番目に注目してください。
一番左が10種類の所得で、利子所得は、源泉分離課税されています。
配当所得から一時所得までは、ごちゃ混ぜにされて、左から2番目で総所得金額になっています。これが、総合課税です。
また、分離短期譲渡所得から退職所得までは、他の所得と混ぜられることなく、別枠で課税されて、それぞれ異なる税率が適用されています。これが、申告分離課税です。
今は難しく感じるかもしれませんが、自然に頭に入りますので安心してください。
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所得税の体系図では、それぞれの区分ごとに異なる税率がかけられる仕組みである事が確認できます。
そして、それは具体的に何%なのかというのは、定率であるものと、所得の額に応じて変わるものがあります。
基本的には、所得の額が多ければ多いほど高い税率がかけられるという仕組みで、このような課税方法を、超過累進課税と言います。
追々詳しく学習しますが、例外的に、不動産や株を売った場合の儲けに対しては、定率課税されます。
適用税率 | 課税所得金額 |
超過累進税率 | 課税総所得金額、課税退職所得金額、課税山林所得金額 |
定率(30%) | 課税短期譲渡所得金額 |
定率(15%) | 課税長期譲渡所得金額、株式等に係る課税譲渡所得金額 |
<所得税の速算表> | ||
課税される 所得金額 |
税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | - |
195万円以上 330万円未満 |
10% | 97,500円 |
330万円以上 695万円未満 |
20% | 427,500円 |
695万円以上 900万円未満 |
23% | 636,000円 |
900万円以上 1,800万円未満 |
33% | 1,536,000円 |
1,800万円以上 4,000万円未満 |
40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
※ | 課税される所得金額の1,000円未満の端数は切捨て |
超過累進税率が適用される課税所得に係る所得税は、速算表を使って計算する事ができます。
速算表の使い方は簡単で、課税所得金額に税率をかけて控除額を引くと、手軽に求める事ができます。
例えば、課税総所得金額が500万円であった場合、速算表を見ると、税率が20%で、控除額が427,500円であることが分かります。
したがって、500万円に20%をかけて、ここから427,500円を引くと、572,500円と求める事ができる、という理屈です。
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