【3級】相続税の課税対象となるもの
暗記モード | ON | OFF |
前回の復習をしますと、相続税の計算の大まかな流れは、以下の通りです。
① | まず、亡くなった人が残した財産の価額を計算します。 これは、全ての相続人等がそれぞれ承継した財産の価額を合計して求めます。 |
↓ | |
② | ①をもとに、一定のルールに従い、相続税の総額を計算します。 |
↓ | |
③ | 相続税の総額を、各相続人等が承継した財産の割合に応じて分担する形で、各相続人等の相続税額を求めます。 |
↓ | |
④ | 最後に、③で求められた各相続人等の相続税額を、個々人の事情を考慮して加減算調整して、各々の最終的な納付税額を計算します。 |
今回は、このうち、①亡くなった人が残した財産の計算をする、という部分の話です。
基本的には、被相続人から承継した財産的な価値があるもの、つまり、金銭的な価値を見積もることができるものは、全て相続税の課税対象となります。
しかし、それ以外にも、相続税の課税対象となるもの(相続税の計算上、カウントされるもの)があります。
具体的には、みなし相続財産、生前贈与加算、相続時精算課税に係る贈与財産が該当します。
※ | 相続時精算課税については、別の章で詳しく説明しています。 |
みなし相続財産とは、被相続人から直接相続を受けた訳ではないものの、事実上、被相続人から相続を受けたのと変わらない財産の事を言います。
例えば、生命保険の死亡保険金は、被相続人からではなく、保険会社から受け取るものですから、本来の相続財産ではありません。
したがって、死亡保険金は、基本的には、遺留分の対象にはなりませんし、相続を放棄した人も受け取ることができます。
但し、相続税の計算においては、保険料を納めた人と被保険者が被相続人である場合、被相続人が死んだ事により、被相続人が払ったお金(保険料)が(保険金という形で)誰かに渡るのであれば、それは相続税の課税対象とするのが相応しいと考えます。
死亡退職金についても同様で、財産自体は、被相続人からではなく、会社から支払われますから、本来の相続財産ではありませんが、被相続人が死亡した事で、本来被相続人が生きていれば、被相続人に支払われるはずであった退職金を、被相続人の遺族が受け取るのであれば、それは相続税の課税対象とするのが相応しいと考えます。
また、被相続人が契約者で、まだ保険事故が起こっていない保険契約については、その契約を相続人等が引き継ぎます。
これも、保険契約(契約者としての立場・権利)は、被相続人からではなく保険会社から受け取る訳ですが、事実上相続があったのと変わらないので、相続税の課税対象となります。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
生前贈与加算は、相続や遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の死亡前3年以内に、被相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税対象にするという制度です。
生前贈与を行い、被相続人の財産をあらかじめ減らしておく事は、相続税の節税対策として有効です。
そこで、この制度によって、亡くなる直前に相続対策を行う事を防いでいます。
亡くなる少し前に贈与を受けたのであれば、それは相続とあまり変わらないと考えて、相続税の対象とするという理屈です。
被相続人から財産的な価値があるものを相続したとしても、相続税の課税対象にならないものもあります。
代表的なものが、墓地・墓石・仏壇・仏具のような宗教的なものや、みなし相続財産のうちの一定額です。
また、弔慰金や死亡保険金等は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、可哀想な人が受け取るお金ですから、一定額までは非課税になります。
<弔慰金等>
弔慰金や花輪代などの、お気持ちやお見舞いは、社会通念上相当と認められるものについては、非課税となります(相続税の課税価格には含まれません)。
社会通念上相当と認められる基準は、死亡理由により異なります。
業務上の死亡(労災事故で死亡した場合)は、亡くなった人の普通給与の3年分に相当する金額までが非課税になります。
業務上以外での死亡の場合には、亡くなった人の普通給与の6ヵ月分に相当する金額までが非課税になります。
<死亡保険金>
相続税の課税対象となる死亡保険金については、相続人全体で、500万円×法定相続人の数までが非課税となります。
※ | 「法定相続人の数」の概念については、次の章で詳しく説明しています。 |
<死亡退職金>
相続人が受け取る死亡退職金は、死亡退職金と別枠で、500万円×法定相続人の数までが非課税となります。
※ | 「法定相続人の数」の概念については、次の章で詳しく説明しています。 |
スポンサーリンク