【3級】譲渡所得
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譲渡所得は、何かを売って得られた儲けが当てはまります。
譲るという漢字を使いますが、タダで貰う訳ではありません。
タダでもらうのは贈与で、これには贈与税がかかります。譲渡は、対価の受け渡しがあります。
ちなみに、生活の用に供する動産を売却した際の所得は、非課税となります。
譲渡所得には5つの種類があり、大きく分けると、総合譲渡所得、分離譲渡所得、株式等に係る譲渡所得に分ける事ができます。
総合譲渡所得は、総合課税される譲渡所得という意味で、分離譲渡所得は、申告分離課税される譲渡所得という意味です。
株式等に係る譲渡所得を除けば、不動産の譲渡による所得が分離譲渡所得で、株と不動産以外の資産の譲渡による所得が総合譲渡所得です。
なお、株式等に係る譲渡所得は、株式や投資信託や公社債を売って得られた儲けが当てはまり、申告分離課税されます。
仮に、たまたま株や不動産で大儲けして、それが給料など一生懸命頑張って稼いだ所得と一緒に累進課税されると、働く意欲を無くしてしまいます。
そこで、偶然大儲けする可能性があるものを総合課税するのは避けて、別枠で課税する(申告分離課税する)事にしています。
さらに、総合譲渡所得と分離譲渡所得は、短期と長期に分かれています。
これらはどちらも、譲渡した資産の保有期間が、5年以下だと短期、5年を超えると長期と判定されますが、保有期間の数え方が違います。
総合譲渡所得では、取得日から売却日までの正味の所有期間が5年以下か5年超かで区別します。
一方、分離譲渡所得では、取得日から売却日が属する年の1月1日までの期間が5年以下か5年超かで区別します。
なお、売却した資産を、個人からの相続や贈与によって取得していた場合、取得日は、それを元々持っていた人の取得日を引き継ぎます(相続や贈与があった日ではありません)。
例えば、×1年の1月17日に取得した骨董品を、×6年の5月25日に売却した場合、骨董品は不動産と株以外の資産ですから、総合譲渡所得になります。
総合譲渡所得の場合、所有期間は正味の所有期間で数えますから、5年を超えると判定されて、総合長期譲渡所得に区分されます。
一方、これがもしも、土地の譲渡であれば、不動産ですから、分離譲渡所得になります。
分離譲渡所得の場合、所有期間は取得日から売却日が属する年の1月1日(×6年の1月1日)までの期間で数えますから、5年未満と判定されて、分離短期譲渡所得に区分されます。
所得の金額は、基本的に、収入から必要経費を引いて求める事ができます。
譲渡所得における取得費用は、取得費と譲渡費用ですから、「収入金額-(取得費+譲渡費用)」という式がベースになりますが、所得の種類ごとに若干計算式が異なります。
総合譲渡所得については、ここからさらに、特別控除額として、最高50万円を引く事ができます。
これには、本当はもう少しきちんとした理由がありますが、少しの儲けのために面倒くさい確定申告をさせるのは気の毒なので、50万円までの儲けであれば、大目に見て無かった事にするという意味合いだと思って下さい。
但し、特別控除額があるのは、あくまで総合譲渡所得だけで、分離譲渡所得や株式等に係る譲渡所得にはありません。
不動産の譲渡益に対する課税はシビアですから、分離譲渡所得に特別控除額はありません。
区分 | 所得の計算式 |
総合短期譲渡所得 | 収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円) |
総合長期譲渡所得 | 収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円) |
分離短期譲渡所得 | 収入金額-(取得費+譲渡費用) |
分離長期譲渡所得 | 収入金額-(取得費+譲渡費用) |
株式等に係る譲渡所得 | 収入金額-(取得費+譲渡費用+負債の利子) |
区分 | 所得の計算式 |
総合短期 譲渡所得 |
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円) |
総合長期 譲渡所得 |
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円) |
分離短期 譲渡所得 |
収入金額-(取得費+譲渡費用) |
分離長期 譲渡所得 |
収入金額-(取得費+譲渡費用) |
株式等に係る 譲渡所得 |
収入金額-(取得費+譲渡費用+負債の利子) |
なお、売却した資産を、個人からの相続や贈与により取得していた場合、取得費は、それを元々持っていた人の取得費を引き継ぎます。
もし、取得費が分からない場合は、概算取得費として、収入金額の5%を取得費とするのが原則です。
高価な物を買った時には、将来売る時の事を考えて、取得費の記録を残しておくことをお勧めします。
取得費が分からなくて概算取得費を使ってしまうと、売った金額の95%が利益とみなされ、高額の税金が課せられます。
譲渡所得は、所得税の体系図を見れば分かる通り、それぞれ課税方法が異なります。
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総合短期譲渡所得と総合長期譲渡所得は、どちらも総合課税されますが、総合短期譲渡所得は、その全額が総所得金額に算入されるのに対して、総合長期譲渡所得は、その半額が総所得金額に算入されます。
どちらも所得の計算式自体は同じですが、税金の計算上、長期保有していたものを売ると有利になり、短期で売ると不利になります。
分離短期譲渡所得と分離長期譲渡所得は、どちらも、申告分離課税されます。
2つが異なる区分で計算されているのは、適用される税率が異なるからです。
分離短期譲渡所得には、所得税30%と住民税9%が適用され、分離長期譲渡所得には、20.315%(所得税15%と住民税5%)が適用されます。
また、株式等に係る譲渡所得は、所得税の体系図を見れば分かる通り、他の所得と混ぜられずに、申告分離課税されます。
税率は、20.315%(所得税15%と住民税5%)が適用されます。
税率が2倍近く違うのは、不動産の短期売買を抑制する国の政策です。
土地の短期売買によって起こったバブル経済の反省が背景にあり、分離譲渡所得については、税率も所有期間の判定も、どちらも厳しくなっています。
上場株式等に係る譲渡所得がマイナスになった場合、申告分離課税を選択した配当所得と損益通算したり、繰越控除を行い翌年以降の譲渡益や配当所得と損益通算する事ができます。
また、NISA口座を使って取引を行う場合、譲渡所得や配当所得が非課税になるメリットがあります。
詳しくは、金融資産運用の論点で学習します。
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