【3級】遺言
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遺言とは、自分が死んだ場合の財産の処分方法等を指定するものです。
遺言があれば、原則として、遺贈者(=亡くなった人)が残した遺言の内容に従って、財産を分割する事になります。
遺言は、とても重要なものですから、有効に遺言をするためには、書式の要件を含めて様々なルールがあります。
遺言は、きちんとした意思能力がある人が、自分の自由な意思で行うという事を重視していますので、15歳以上でないとできない、とか、誰かと一緒に作った遺言(共同遺言)は無効になる、などの規定があります。
15歳以上と言うのは間違えやすい年齢ですが、FP試験の他の論点で、年齢要件が15歳であるものはありませんから、かえって覚えやすいかもしれません。
ちなみに、これは民法の話で、民法は、(元服の習慣あった江戸時代の次の)明治時代にできたものですから、当時は大人と言えば大体15歳という事だったのかもしれません。
遺言は、自由な意思を尊重するという観点から、いつでも自由に撤回する事ができます。
撤回の方法は2種類あり、一般的な方法は、新しい遺言を作る事です。
新しい遺言を作ると、古い遺言と抵触する部分は無効になりますので、遺言が複数存在して内容に矛盾があれば、日付が新しい遺言の内容が有効になります。
もう一つの方法は、遺言者が故意に遺言書や遺贈の目的物を破棄する事です。
この場合、その破棄した部分については、遺言が撤回されたとみなされます。
例えば、遺言では長男に家をあげると書いているのに、生前に家を売却していた場合は、遺言を撤回したとみなすという事です。
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遺言は、一般的に、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらかによる事が殆どです。
<自筆証書遺言>
自筆証書遺言は、個人が単独で作成する遺言です。
こっそり作って引き出しの中に入れておけば、自分が死んだ後に遺族が見つけるという、ドラマや小説でよく出てくるタイプの遺言だと思って下さい。
一人で手軽に作る事ができ、内容も秘密にすることができるというメリットがありますが、偽造や変造を防止する観点から、財産目録以外はパソコン等で作成する事が認められず、全て本人が手書きで作る必要があります。
なお、きちんとした形式を満たさない場合、遺言が無効となりますから、一般の人がすぐに有効な遺言を作ろうとするのは、少しハードルが高いかもしれません。
そのようなリスクを避ける手段として、公正証書遺言を作るという選択肢があります。
<公正証書遺言>
公正証書遺言は、公証役場という場所で作成する遺言です。
公証役場には、公証人という、きちんとした書類を作るプロのような人がいて、公証人に遺言したい内容を口述すると、それを正式な書類に落とし込んでもらえます。
公正証書遺言は、費用がかかる事と、2人以上の証人を用意しなくてはいけないという手間がありますが、公証役場に遺言の原本が保管されるため、紛失や偽造の心配がありません。
また、公証人が作成しますから、形式要件を満たしていなくて内容が無効になるリスクもありません。
自筆証書遺言よりも、公正証書遺言の方がきちんとした遺言ではありますが、公正証書遺言の方が効力が強い遺言という訳ではありません。
一旦、公正証書遺言を作った後、気が変わって自筆証書遺言を作った場合でも、日付が新しい遺言の内容が優先されるというルールは有効です。
つまり、自筆証書遺言で公正証書遺言の内容を取り消すことができます。
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検認とは、遺言の内容の偽造を防ぐために行う手続きです。
誰かが封印のある自筆証書遺言を発見した時には、勝手に開封せず、家庭裁判所に検認の請求をしなくてはいけません。
家庭裁判所に検認の請求をすると、全ての相続人に、通知が行われ、相続人達の立ち合いの下、家庭裁判所で遺言を開封します。
これにより、各相続人が同じタイミングで遺言の内容を知る事になり、それ以降誰かが遺言を偽造することを防ぐ事が出来ます。
但し、検認はあくまでも、遺言の存在と内容を確認するだけの手続きであり、遺言の内容の有効や無効を判断する手続きではありません。
なお、公正証書遺言を発見した場合には、原本が公証役場で保管されていて、偽造の恐れがありませんので、検認をする必要がありません。
公正証書遺言を偽造したとしても、公証役場の原本と付き合わせると、内容が偽造されているという事が簡単にバレますから、公正証書遺言は検認の必要が無く、遺族の負担が軽いです。
但し、遺言をした人が死んだからといって、公証役場の人が親切に公正証書遺言の原本を持って来てくれる訳ではありません。
公正証書遺言を作る際に必要となる証人は、「確かにその人がその人の意思で遺言をした」という事を確認する人で、後日、死んだあの人がそんな遺言をするはずがない、などと言った紛争を、未然に防止する役割があります。
よって、遺言者の親族や利害関係者などは、証人になる事ができません。
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