【3級】建物の大きさに関する規制*
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建蔽率(けんぺいりつ)とは、敷地面積に対する、建築面積(建物が建っている部分の面積)の割合の事です。
例えば、マイホームを建てる為に土地を買ったら、せっかくなので敷地いっぱいに大きな家を建てたい、というのが人情かもしれませんが、そのような事をして家が火事になってしまった場合には、周りに火が燃え広がって、大変な事になってしまいます。
そこで、火事が起こった際に、燃え広がるのを防ぐために、ある程度は隣の敷地との空間を確保するように促す目的で、建蔽率の上限が定められています。
これを、指定建蔽率と言います。
指定建蔽率は、用途地域の区分を目安にして、ある程度まとまったエリアごとに定められていますが、火事が起きても比較的災害が拡大しにくい条件では、建蔽率の制限が緩和されます。
具体的には、特定行政庁が指定する角地に建物を建てる場合や、防火地域内に耐火建築物を建てる場合、準防火地域内に耐火建築物等もしくは準耐火建築物等を建てる場合には、建蔽率の上限が、それぞれ10%緩和されます。
また、商業地域など、滅多に起こらない火事を気にするより、目一杯大きな建物を建てる事を優先したい地域もありますから、建蔽率が80%である防火地域に、耐火建築物を建てる場合には、建蔽率の制限が無くなります(建蔽率の上限が100%となります)。
建蔽率の上限が緩和される場合とされない場合は、以下の通りです。
耐火建築物 | 準耐火建築物 | |
防火 地域 |
10%緩和*1 |
- |
準防火 地域 |
10%緩和*1 |
10%緩和*2 |
*1 | 耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物を含む |
*2 | 準耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物を含む |
商店街を歩くと、隣の建物とピッタリ並んで建物が建っている事に気づきます。
あれは、上記要件を満たして、建蔽率の上限が100%であるからです。
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容積率とは、敷地面積に対する、建物の延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合の事です。
例えば、マンションや商業施設を建てようとする場合、どうせなら高い建物にしてたくさん収入を得たい、というのが人情かもしれませんが、そのような事をして家が火事になってしまった場合には、高層階に居る人が逃げ遅れて、気の毒な事になってしまいます。
そこで、火事が起こった際に、建物の中にいる人が、全員無事に避難する事ができるようにする目的で、容積率の上限が定められています。
建物の中にいる人が全員無事に避難するためには、直接建物の中に入る人の数を制限するのが理想ですが、建物の中に何人入っているかを把握する事は難しいですから、人が立つことができる面積を制限する事で、間接的に、建物の中に入ることができる人の数を制限しています。
容積率の上限も、建蔽率と同様に、用途地域の区分を目安にして、ある程度まとまったエリアごとに定められており、これを、指定容積率と言います。
但し、指定容積率は、ある程度まとまったエリアごとに設定されていますから、ある土地が面している道路が狭くて、火事になった場合に消防車や人混みで混雑して、スムーズに避難できない可能性がある、という様な、個別の事情は織り込まれていません。
そこで、敷地の前面道路が12m未満である場合には、指定容積率だけでなく、試しにもう一つ規制をかけてみて、厳しい方の規制を適用する事とされています。
この、試しに設けてみる規制は、前面道路が狭ければ厳しく、広ければ緩くする必要がありますから、前面道路の幅員を基準として、これに法定乗数をかける事とされています。
例えば、前面道路の幅員が4mで、法定乗数が10分の6なら、4×6/10=2.4となり、容積率の上限は、敷地面積の2.4倍(=240%)までという事になります。
なお、 敷地が複数の道路に面している場合は、幅員の大きい道路を正面道路とします。
%は百分率ですから、整数を100倍すると、%単位になります。
したがって、例えば、3=300%、180%=1.8となります。
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建築面積と延床面積の上限の計算例を以下に示します。
下図の土地に建てる事ができる建物の制限(建築面積の上限と延べ床面積の上限)について考えてみます。
[建築面積の上限]
敷地面積は200㎡で、指定建蔽率は60%です。
また、建蔽率を緩和する規定に該当する条件は備えていませんから、敷地面積の60%まで建物を建てることができるという事になります。
よって、建物の建築面積の上限は、200㎡×60%=120㎡となります。
[延べ床面積の上限]
指定容積率は300%とありますが、前面道路の幅員が12m未満ですので、試しにもう一つ規制をかけてみる必要があります。
もう一つの規制は、前面道路の幅員×法定乗数=6×6/10=3.6=360%です。
これは、指定容積率よりも大きいので、わざわざ規制を設ける必要は無く、指定容積率をそのまま使えば良いという事になりますから、容積率の上限は300%となります。
よって、延べ床面積の上限は、200㎡×300%=600㎡となります。
下図の土地に、耐火建築物である建物を建てる際の制限(建築面積の上限と延べ床面積の上限)について考えてみます。
[建築面積の上限]
敷地面積は200㎡で、指定建蔽率は60%です。
また、敷地は、特定行政庁が指定する角地にあり、防火地域に耐火建築物を建てますから、建蔽率の上限は、10%+10%=20%緩和されます。
つまり、敷地面積の80%まで建物を建てることができるという事になりますから、建物の建築面積の上限は、200㎡×80%=160㎡となります。
[延べ床面積の上限]
指定容積率は300%とありますが、前面道路の幅員が12m未満ですので、試しにもう一つ規制をかけてみる必要があります。
もう一つの規制は、前面道路の幅員×法定乗数=6×4/10=2.4=240%です。
これは、指定容積率よりも小さいので、厳しい方の規制を適用する事になりますから、容積率の上限は、240%となります。
よって、延べ床面積の上限は、200㎡×240%=480㎡となります。
例1は必ず解けるようになりたい問題です。例2は、余裕がある方のみ解けるようになりたい問題です。
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