【3級】遺留分*
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遺言を書くと、原則として、遺言をする人が自由に、自分の財産の処分方法を指定することができます。
しかし、例えば、愛人や友達に遺産を全て相続させる、というような遺言をした場合、亡くなった人の遺産を期待していた人の人生設計が、大きく狂ってしまいます。
それに、亡くなった人の財産は、その人単独の力で残したものではなくて、家族の協力があって残す事が出来たものであると考える事も出来ます。
そこで、一定の相続人には、最低これだけは財産を残すべきという割合があります。
これを、遺留分と言います。
遺留分は、亡くなった人の財産は、亡くなった人だけが築いたものではなく、家族(=相続人)の協力があって築くことが出来たものであるから、家族の貢献分はきちんと家族に残すべきだ、という考え方が背景にある制度です。
つまり、通常、亡くなった人の財産の形成に貢献しているであろう人に、遺留分を受け取る権利があります。
具体的には、配偶者相続人、第一順位の血族相続人、第二順位の血族相続人には遺留分があります。
言い換えれば、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。
したがって、遺留分を侵害する遺言があった場合、兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分を侵害されたとして、その侵害額に相当する金銭の支払を請求することできます。
但し、これはあくまでも、相続人(遺留分権利者)の権利であり、自動的に財産が戻ってくる訳ではありません。
財産を取り返したいのであれば、きちんと、請求する必要があります。
この、遺留分の返還を求める事ができる権利の事を、遺留分侵害額請求権と言います。
なお、遺留分侵害額請求権には時効があり、 遺留分が侵害されているという事を知った日から1年、知らなくても、相続開始から10年を過ぎてしまうと、権利を行使することができなくなってしまいます。
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相続人全員で取り返す事ができる遺留分の割合を、抽象的遺留分と言います。
これは、相続人が直系尊属のみである場合を除いて、基本的には、相続財産の2分の1です。
そして、個々の相続人が取り返す事ができる遺留分の割合を、具体的遺留分と言います。
これは、抽象的遺留分を法定相続分で按分した割合とされます。
直系尊属のみである場合、抽象的遺留分は、相続財産の3分の1とされます。
例えば、配偶者と2人の子供がいる被相続人が、愛人に全財産を遺贈した場合について考えてみます。
相続人である配偶者と二人の子供は、全員合わせて相続財産(遺留分算定の基礎となる財産)の2分の1を最低限受け取れる権利があります。これが、抽象的遺留分です。
次に、法定相続分を計算すると、配偶者相続人と第一順位の血族相続人の組み合わせですから、配偶者が2分の1、子がそれぞれ4分の1となります。
したがって、各相続人の具体的遺留分は、配偶者については、遺留分算定の基礎となる財産×1/2×1/2=遺留分算定の基礎となる財産の1/4、子はそれぞれ、遺留分算定の基礎となる財産×1/2×1/4=遺留分算定の基礎となる財産の1/8という事になります。
実務上、遺言をしようとする際には、後で誰かが遺留分侵害額請求権を行使して揉める事がないように、注意して作る必要があります。
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